会員紹介


 



北海道高山植物盗掘防止ネットワーク委員会
(現・北海道高山植物保護ネット)
[014] 2007.06UP

 北海道の高山に咲く氷河期の遺産である貴重な高山植物の盗掘が頻発し、絶滅寸前の植物もあります。1997年に夕張岳とアポイ岳で大量盗掘があり、これに危機感を持ったユウパリコザクラの会やアポイ岳ファンクラブが中心となり、1998年3月に高山植物保護と盗掘防止のための全道シンポジウムが開催されました。これを機に、自然保護団体や、山岳団体など、全道各地の50団体が結集し、委員会が結成されました。主な活動としては、各加盟団体の盗掘防止活動への支援、盗掘防止と保護に関する知識の普及、意識の啓発、保護対策に関する調査研究、政策提言などを行っています。

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 同会の活動の一例として、大平山という高山植物の宝庫を有する島牧町での活動があります。大平山は、ガイドブックなどに紹介されていないにかかわらず、インターネット情報などで急に人気の登山スポットとなってしまいました。同会では2003年に島牧町で現地フォーラムを開き、加盟団体や関係行政機関、島牧村の各団体が集まって検討を行い、植物の保全と登山客の完全確保のために、登山道の付け替えを決定しました。2005年には、「島牧村の宝物」というパンフレットを製作し、島牧村の小中学校で特別授業を行いました。子どもたちは、自分の住む島牧村にすばらしい財産があることに驚き、大平山を守るにはどうしたらよいか考えるきっかけになったということです。

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 事務局長の樋口さんによると、各団体の地道な努力と行政とのネットワークの連携によって、各地で保全活動が少しづつ実を結びはじめ、盗掘は少なくなったということです。その一方で、百名山ブームによって、夕張岳やアポイ岳ではオーバーユースによる踏み付け、ゴムキャップをつけないストックによる植生への影響が大きな問題になっているということです。自然保護の視点からの登山マナーの啓発が同会の新たな急務となってきています。

(2007年8月取材の内容です)

パトロール風景


島牧村での特別授業風景


高山植物盗掘跡



団体データ

●名称
北海道高山植物保護ネット(旧・北海道高山植物盗掘防止ネットワーク委員会)

                
●最新の団体情報は→ 会員団体概要

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