会員紹介


 



NPO法人 ひがし大雪自然ガイドセンター
[001] 2004.06時点の取材記事です。

 日本で最大の自然公園である大雪山国立公園の東部地域で、四季を通じて様々な自然体験プログラムを提供する、NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター。ここで実施しているプログラムは、大きく分けると2つあります。ひとつは、誰でも簡単に参加できる「手軽な自然体験プログラム」、もうひとつは、登山や散策を通して四季折々の自然の素晴らしさを感じ、大雪山国立公園の抱える問題などをガイドの方々と一緒に考える、会員制の「ニペソツくらぶ」向けのツアーです。

 2004年5月22日(土)、この辺りでも珍しい季節外れの雪が降った翌日、手軽な「早朝ネイチャーウォッチング」と、「ニペソツくらぶ」会員向けの「旧国鉄士幌線廃線トレッキング」に参加しました。

 前日に降った雪がうっすらと積もる早朝に参加した「早朝ネイチャーウォッチング」は、希望者がいれば毎日開催される手軽な自然体験プログラムで、糠平温泉に宿泊する観光客を中心に、昨年度は約6千5百人が参加しています。

 朝5時、まずは糠平温泉の文化ホールを出発し、バスに乗って十勝三股まで移動します。道中にはエゾシカも姿を現し、興味深く窓の外を見つめる参加者。「道路脇に植えてある芝生を食べに危険を冒して出てくるのです」と、エゾシカが国道に姿を現す理由を説明するガイドの小澤さんの話に、全員がなるほどと耳を傾けます。その後、バスを降りて、白樺林の間を抜ける旧士幌線の線路跡を、草花や動物の足跡などを見ながら散策。帰りは水芭蕉の群生地を見学します。

 この日、早朝ネイチャーウォッチングに参加した人は、約20人。多くは、北海道を周遊するバスツアーの参加者ですが、自然の中を歩く貴重な機会のようで、バスを降りて直に接する自然や、ガイドの小澤さんのわかりやすい説明に、1時間半という短い時間ながら、とても充実した時間を過ごしている様子でした。

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 続いて参加したのは、「ニペソツくらぶ」会員向けの「旧国鉄士幌線廃線トレッキング」です。「ニペソツくらぶ」は、地元の十勝を中心に、釧路、札幌、東京などに約60名の会員がいて、この日は、4人が参加しました。朝9時、同じく糠平温泉の文化ホールを出発。ワゴン車に乗って、まずは山を下り、帯広平野の北端に位置する清水谷の駅跡へ。その後、北上する形で、旧士幌線の廃線跡をたどり、アーチ橋を見て歩きます。

 「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」は、北海道遺産にも選定され、その名が知られていますが、糠平湖に沈み、季節によって湖上に姿を現す「タウシュベツ川橋梁」の他にも、大小多数のアーチ橋が残っています。この日は、山の斜面を下ったり、きれいな音更川を渡るなど、自然の中を歩きながら、国道からではあまりよく見えない橋梁を巡りました。

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 「旧国鉄士幌線廃線トレッキング」のガイドを担当した、センター代表の河田さんは、ひがし大雪の魅力について、自然がとてもよく残されていていることだといいます。この、「ひがし大雪」と呼ばれる糠平から三股地区にかけては、かつては「裏大雪」と呼ばれてた地域で、大雪山国立公園の中でも、旭岳や層雲峡温泉といったシンボルとなる山や温泉地がない反面、若い森林には棲まないとされるミユビゲラの生息が、日本で唯一確認されるなど、原始性豊かな森林を堪能することができます。

「ひがし大雪自然ガイドセンター」は、そんな魅力的な自然を、設備や道具に頼りすぎず、ゆっくりと歩きながら観察する体験を目指し、1997年から活動を始めました。糠平温泉や上士幌の活性化につながるとして上士幌町からの協力も得られ、2001年にはNPO法人を取得。昨年2003年に、自然体験に参加した人は約9千人、その他、環境教育活動や環境保全活動を行っています。

 参加した2つのプログラムは、参加対象や内容が異なるものの、どちらのプログラムも、歩くことを通して、自然の中で生きようとした人間の歴史と、その人間を包む自然の大きさを感じることができました。そして、自然の中でゆっくりとした時間を過ごすことの豊かさをあらためて感じた、そんな1日でもありました。

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●「ひがし大雪自然ガイドセンター」代表、
 河田充さんから一言


糠平の周辺には、昔の木材のまちや鉄道の遺跡が、再び自然に戻ろうと移り変わっている、そんな魅力的な場所がたくさんあります。人と自然のつながりなどを振り返り、これからのことを考えるには、最適なところです。とてもきれいな川が流れていて、これからは森が美しくなる季節です。ぜひ遊びにきてください。

(2004年6月取材の内容です)


早朝ネイチャーウォッチング、本州からの参加者は季節はずれの雪にビックリ


旧国鉄士幌線廃線トレッキング、国道から斜面を下りたところにある第三音更川橋梁


旧国鉄士幌線廃線トレッキング、こちらは糠平湖に沈むことで有名なタウシュベツ川橋梁


旧国鉄士幌線廃線トレッキング、糠平湖の湖畔にて


団体データ

●名称
特定非営利活動法人 ひがし大雪自然ガイドセンター
               詳しくは→会員団体概要

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